僕が当たり前のようにお話ししている牡蠣の話。本当はもっとマニアックな内容を伝えたくてうずうずしているのですが、そう言えば“そもそも牡蠣とは何ぞや”、というお話をし忘れていました。そこで今回は、“牡蠣とはどんな生き物なのか”をお話しします。
起源は1億年以上前、白亜紀より生息しその姿をほとんど変えていない牡蠣。その役目は、海の浄化(フィルター)です。食用牡蠣の歴史も古く、それは紀元前にさかのぼり、ヨーロッパではすでに養殖が始まっていました。日本では縄文時代、弥生時代の貝塚より多くの牡蠣殻が見つかっており、古くから食されていたのがわかります。
日本での養殖の歴史は450年前の室町時代、当時は石を干潟に撒き牡蠣を付着させる「石蒔き養殖法」や、木や竹を干潟に突き立てて育成させる「ひび建て養殖法」などが主流でした。明治時代になると、今のように筏に帆立の殻を吊るして海に沈める「垂下式養殖法」が始まり飛躍的に生産量が増加したのです。
食の歴史も古く、海外ではローマ最大の英雄、シーザーも牡蠣をこよなく愛していたと言われ、ナポレオン1世は牡蠣の養殖場を目指して進軍したとも言われています。日本では伊達政宗も牡蠣を食す専用の洞窟を用意していたとの文献もあるそうです。また松尾芭蕉の「奥の細道」では汽水域を目指して進み、牡蠣によって栄養を補充していた、なんていう話も……。
牡蠣は海のミルクと呼ばれるだけあって、栄養面でも非常にバランスがよく完全食品の1つとして知られ、成分は亜鉛、タウリン、グリコーゲン、ビタミンと非常に多くの栄養素が含まれています。美味しいだけではなく滋養強壮、肝機能強化、生活習慣病の予防などなど……。現代医学のない時代から欧米でも生食されていることを考えると、昔の人々は牡蠣の効能を体感しながら、積極的に食していたのかもしれませんね。
奥深い牡蠣のお話しはまだまだ語りつくせません。第2弾もいつかお話ししようと思いますので、ご期待ください!