前回の「そもそも牡蠣っての話①」で、石を干潟に撒き牡蠣を付着させる「石蒔き養殖法」や、木や竹を干潟に突き立てて育成させる「ひび建て養殖法」など、昔の養殖方法に触れましたが、現在の方法をご存知ですか?
まず、一般的に言われる「真牡蠣」の養殖は、「垂下式養殖法」と言われるもの。夏の産卵時期にホタテの連(ホタテの殻を数珠つなぎにしたもの)を海に沈めることから始まります。そこに産まれたばかりの牡蠣の幼生を自然に付着させ、抑制棚と呼ばれる浅瀬の棚に移動させるのです。
ホタテに付着した弱い種牡蠣は、潮の干満によって海中から出たり入ったりしていくうちに死んでしまいます。生き残った強い種牡蠣だけが、晴れて沖へと連れていかれるのです。
小さな種牡蠣の付いたホタテの殻は、生産者の方々の手によってロープに繋げられ、筏の下に吊り下げられます。こうして1年半ほどかけて育った牡蠣は、たくさんの生産者の方々の手で一粒ずつ丁寧に仕分けされ、愛情と共に出荷されていくのです。
この「垂下式養殖法」で育てられる「真牡蠣」は、筏の下に吊り下げられて下へ下へと伸びて長い形となるので、「長牡蠣」とも呼ばれています。
今回は、日本における現在の基本的な養殖方法の流れをお話ししましたが、漁場や生産者さんによってこだわりはさまざま。日本には産地特有の個性が表れた牡蠣が、沢山流通しています。
次回は北米や南半球の養殖方法について触れたいと思います。